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擬堆黒総盆  ギツイコクソウボン


擬堆黒総盆

伝辻丹楓(丹圃。1722-1805)作
縦61.0cm × 横61.0cm × 高さ4.5cm
江戸後期


 明和年間、高岡に堆朱(黒)、存星など中国の技法を伝えたという辻丹楓(丹圃とも)作と伝えられる。丹楓は屋号を砺波屋、本名は伊右衛門といい、また辻今道、荒蟲とも称し高岡御馬出町に住んだという。高岡工芸漆器の元祖といわれ、明和年間(1764-71)頃に京都で修行して帰郷し、擬堆黒(朱)、存星など唐風の技法を伝えたというが、経歴についての確かな記録はない。丹楓はまた、詩文にも長じた文化人でもあったという。
 本資料は、「擬堆黒」の技法で作られている。盆の中央に写実風な「木蓮に燕」を配し、これを雷文で縁取りし、その周囲に唐草花文を配し、縁も雷文が配されている。また余白には錆漆を釘状の竹、又は箆で丹念に突いて凹凸状としている。裏は刷毛目で青海波文を描いている。
 擬堆黒(朱)とは漆を何回も塗り重ねて彫った堆黒(朱)ではなく、木地を直に彫って下塗りした後に、黒(朱)漆を塗り、乾燥後に灰墨様の古味を入れて仕上げたもの。もうひとつは、型紙・型材を使って漆錆型抜きの技法で薄肉模様表現して、これを前述と同様の工程で仕上げたものもあり、本資料は後者の型材が用いられていると考えられている。




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原本作成日:2002年7月1日;更新日:2015年3月28日